房総半島を走る、「いすみ鉄道」をご存じですか? 牧歌的な田園風景の中を、一両編成(たまに二両編成!)で走るノスタルジックな姿が人気のローカル鉄道です。毎年3月中旬ごろからは線路に沿って菜の花が咲き始め、まさに「いすみ鉄道」を満喫するベストシーズンを迎えます。近年テレビ番組でもたくさん特集されているので、「行ってみたい」と思っていた方も多いのではないでしょうか? 今回は「いすみ鉄道・撮影の旅」と称し、列車に乗ったり降りたりしつつ、のんびり歩きながら菜の花撮影も楽しめる、おすすめコースを提案します。教えてくださるのは、勤続20年、いすみ鉄道を知りつくした営業部の稲葉恵子さんです。それでは、出発しましょう!

いすみ鉄道は、千葉県いすみ市の大原駅と、千葉県夷隅郡大多喜町上総中野駅を結ぶ約27㎞、14駅の路線です。駅間が短くほとんどが2~3㎞であるため、乗ったり降りたりしながらのウォーキング旅には最適! 今回の旅は、まずJR外房線で大原駅まで行き、いすみ鉄道に乗り換えるところからスタートします。
①フリー乗車券がお得! いすみ鉄道下り線・大原駅からスタート
大原駅はJR外房線と接続しています。まずはこの駅をめざしましょう。1日フリー乗車券は平日おとな1200円。土日祝日おとな1500円。おみやげにいすみ鉄道のグッズを購入したい方は、取り扱い売店はこの駅のみですのでご注意を!
↓
↓
↓
②上総東駅で下車
大原駅から2駅目の上総東駅で降り、国道465号線を新田野駅方面へ歩いていきます。
山田交差点を右に曲がると、上り坂にさしかかります。坂の頂上を過ぎると、最初の菜の花スポットが現れます。ここは、桜とのコラボレーションも楽しめる最高のロケーション! 画像にある桜の向こう側が、国道465号線となっています。花の中を走り抜けていく列車は国鉄時代、主に昭和に活躍した車両「キハ」。解体が決まっていた車両をJR西日本からいすみ鉄道が譲り渡してもらい、またここ外房で元気に走る姿を見せてくれています。キハ28、キハ52ともに、全国で営業運転しているのはいすみ鉄道だけ! いすみ鉄道の人気の理由のひとつでもあります。
↓
↓
↓
③新田野駅から乗車
上総東駅のひとつ先の新田野駅から再び乗車し、国吉駅を目指します。新田野駅周辺はとても見通しがよく、ホームや待合室からの眺めも最高! ぜひ確認してみてくださいね。
↓
↓
↓
④国吉駅で下車

国吉駅で降り、国道465号線を上総中川駅方面へ歩いていきます。「大野入口」という交差点が見えたら、右上の土手を見上げます。すると、第二の菜の花スポットが現れます。ここの菜の花は土手の傾斜に沿って咲いているため、車中からは花を見ることができないという、特別な場所。ぜひ屋外で、車両と菜の花のベストショットの撮影にチャレンジしてみてくださいね。いすみ鉄道の稲葉さんによると、大野入口交差点に向かう前に少し寄り道をして、出雲大社上総教会へ立ち寄るのもオススメとのこと。ここは、縁結びの神様である、島根県の出雲大社の正式な分社。地元のパワースポットでもあります。
↓
↓
↓
⑤上総中川駅から乗車
国吉駅のひとつ先の上総中川駅から再び乗車します。ここまで元気に歩いてきて、少々おつかれ気味のみなさん……、ここからは、駅近の撮影スポットが続きまーす!
↓
↓
↓
⑥城見ヶ丘駅で下車

ここは、駅構内で菜の花を撮影できるスポット。駅から大多喜駅方面へ向かって数百メートルにわたり、菜の花が咲いています。さらに画像の左奥には、日本続100名城のひとつ、大多喜城の姿も……! 「城見ヶ丘」の駅名どおり、大多喜城がきれいに見える駅でもあるのです。この菜の花カラーの鮮やかな黄色い車両は、いすみ鉄道を象徴するデザインです。
↓
↓
↓
⑦再び城見ヶ丘駅で乗車し、東総元駅で下車
東総元駅を出て、上総中野駅方面に2~3分歩いたあたりの土手を下ったところに、傾斜地に一面に咲く菜の花が! 画像をよく見ると、左奥に東総元駅のホームが写っているのが確認できます。踏切のすぐそばですので、目印にしてください。
↓
↓
↓
⑧東総元駅に戻って乗車し、総元駅で下車

城見ヶ丘駅と同じく、ここ総元駅でも駅構内で菜の花を撮影できます。桜と菜の花に包まれるようにたたずむキハ、まるで昭和にタイムスリップしたかのようですね。大多喜町内には保育園が2つあり、園児のみなさんが毎年秋に、菜の花の種まきをしてくれるそう。「撮影時は、子どもたちが育ててくれた菜の花を踏み荒らさないようにお願いします」と、いすみ鉄道の稲葉さんからのお願いです。
↓
↓
↓
⑨再び総元駅から乗車し、西畑駅で下車

いよいよ最後の撮影スポットです。西畑駅を出てすぐの「狐原踏切」を渡り、いすみ鉄道に沿う道路を、総元駅方面に戻るように進みます。500mほど行くと、「広畑踏切」にさしかかります。この踏切を渡って農道を下ったところに、桜のトンネルと菜の花のじゅうたんの中を進む姿が撮影できる、静かな穴場スポットがあります。画像に映るのは、いすみ鉄道の最新型車両です。国鉄のキハの列車をイメージしたデザインで、早くも人気を集めています。
いかがでしたか。いすみ鉄道沿線の菜の花は、地元の保育園の園児たちや、いすみ鉄道応援団のみなさんなど、たくさんの方々が種をまいて育てることで、訪れる人々を楽しませてくれています。列車も撮影もウォーキングも楽しめる、春ならではのよくばり旅! マナーを守りながら、ぜひ満喫してくださいね。
取材・文/植木淳子
協力/いすみ鉄道株式会社 https://www.isumirail.co.jp/

