2019年・亥(いのしし)年がスタートして早くも1カ月が過ぎました。「干支を食べると縁起がいい」という話も聞くので、イノシシを食べに行ってきました。その名も「房総ジビエ」。なんと千葉県産のイノシシが食べられるお店があるのです。おいしいいのししを食べて、良い1年になることを願いましょう。
ジビエって何?
ジビエとは、狩猟により捕獲された野生の鳥獣の食肉のことをさすフランス語です。中世のヨーロッパでは、貴族しか口にすることのできなかった高級食材でした。伝統的なジビエの食文化は現代にも受け継がれ、鴨や野うさぎのローストなどは、フランス料理での定番とされていますね。
日本でジビエ料理として親しまれているものは、イノシシやシカなどが中心です。豊かな自然の中で育まれた野生の肉は、鉄分やビタミンなどの栄養価が高いうえに低カロリー! まさに「自然の恵み」です。
知っていますか? 千葉県の深刻な農作物被害

ジビエの魅力は、おいしさや栄養価だけではありません。じつは千葉県では野生鳥獣による農作物被害が深刻で、2017年度だけでも約4億円弱の被害が発生しています。サルやカラス、ハクビシンなどさまざまな野生鳥獣による被害のなかで、もっとも大きいのがイノシシによるものです。稲やいも類、野菜、果物などの農作物を食い荒らして農家の方々に被害を与えているイノシシですが、このイノシシ肉を消費することは、農作物被害を減らす対策のひとつでもあります。県では以前から、県内で捕獲されたイノシシやシカの肉を「房総ジビエ」と銘打ち、普及に力を入れています。
「ジビエ」のお店に行ってみよう!

実は千葉県内には「房総ジビエ」を提供するお店が数多くあります。今回はその中のひとつ、千葉市にある「房総獣肉センター」へ。こちらでは県内で獲れたイノシシ肉はもちろん、シカや鴨、そのほかなんとワニやラクダ、カエル、カンガルーなどの珍しい肉も取り扱っています!
定番の「猪鍋」はヘルシーなのにスタミナも満点♪

イノシシといえば、何といってもお鍋。「しし鍋」「ぼたん鍋」などと呼ばれ、古くから日本各地で愛されてきました。店長さんによると、イノシシは脂がのる1~2月がいちばんおいしい時期とのこと。このきれいなピンク色をご覧ください!

しょうゆをベースにみそをブレンドした特性ダレの、香ばしいにおいが漂ってきたらもう食べごろ。イノシシ肉を食べるのは20年ぶりの記者、ドキドキしながら口に入れてみると……、おいしい! 臭みはまったくなく、味はほぼ豚肉。それでいて、肉のうまみや甘みはより強く感じられます。ジビエ肉特有のクセが気にならないのは、捕獲後に専門家が迅速丁寧に処理をしているからこそ。特に千葉県のイノシシに臭みがないのは、食べているエサに理由があるそう。イノシシは何でも食べてしまう「雑食」ですが、県内のイノシシはいもなど主に野菜を食べているため、臭みが発生しにくいのです。にんにく&にらでスタミナもつきそう! 縁起がいいかどうかはともかく、寒さを吹き飛ばしてくれること間違いなしです。
焼き肉で肉そのもののうまみを味わって

臭みがなく新鮮だからこそ、肉本来の味わいがきわだつ「焼き肉」でもいただくことができます。カルビは脂の甘さがとっても印象的で、ロースはやわらかくジューシー! 今年は亥年ということもあり、こちらのお店では例年に比べてイノシシ肉が特に人気で、売り切れの日もあるとのこと。

「房総ジビエフェア2019」開催中!

県は「房総ジビエ」の魅力を広く伝えるため、県内や周辺の都県の飲食店を中心に、毎年「房総ジビエフェア」を行っています。今年もジビエと相性のいいフレンチ、イタリアンはもちろん、和食や中華などバラエティに富んだ60店舗が参加! フェア開催期間の2月24日(日)まで、各店自慢のジビエメニューを楽しむことができます。また今年は新たに、フェア参加店舗を対象に「房総ジビエコンテスト」も行われました。入賞メニューは、フェア開催期間中に店舗で味わえます。
おいしくてヘルシーなうえに、お酒との相性も抜群♪ さらに食べることで地元にも貢献できる、いいことずくめの「房総ジビエ」に注目です!

コンテストで千葉県知事賞を受賞した、東京都世田谷区の「ペペロッソ」シェフの今井和正さんが考案したメニュー「ヌォーヴァ パスタ トラディツィオナーレ」。
「房総ジビエフェア2019冬」参加店舗はこちらから!
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/norin/torikumi/bosojibie/fair2019/restaurant.html
取材協力/房総獣肉センター
千葉県千葉市中央区富士見2-15-8
TEL043-441-6565
撮影/貴田茂和
取材・文/植木淳子

