ほっと、人、あんしん。京葉ガス

ともに With you 千葉

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presented by SHUFUNOTOMO

船橋市が舞台の『きらきら眼鏡』公開記念 監督×主演×原作者のスペシャル対談(前篇)

今、千葉県内で静かなブームを巻き起こしている映画『きらきら眼鏡』をご存じですか? 船橋市出身・在住の作家、森沢明夫さんが同市を舞台に描いた同名小説が映画化されたもので、地元では制作段階から早くも話題に。このたび全国に先駆けて9月7日(金)より、ららぽーと船橋TOHOシネマズにて先行上映されます。

物語は、恋人の死から立ち直れずにいる青年・明海が、1冊の古本を通じてあかねという女性と出会うことから始まります。彼女は、物事が輝いて見えるよう、心にいつも「きらきら眼鏡」をかけていると言います。でも彼女もまた、余命宣告された恋人とのつらい現実を抱えていたのです―――。

 

映画化にあたっては、初期の段階から「船橋市民参加型」として企画。「船橋のことを日本中に、いや世界中に知ってほしい」「今の船橋の姿を後世にまで伝えたい」という思いのもと、「船橋宿場町再生協議会(FSK)」や「きらきら眼鏡 制作実行委員会」を中心に多くの船橋市民の協力を得て作品が完成しました。船橋市の現在の街並みや生活の様子をフィルムとして残すという記録的価値はもちろん、みんなで感動を共有できる素晴らしい作品です。船橋市民の方だけでなく、千葉県民のみなさんにとっても「あ、ここ知ってる!」「行ったことある!」と、思い入れのある風景がスクリーンに登場するはず。大切な人とぜひ映画館に足を運んでみてください。

 

今回は映画化を記念して、監督の犬童一利さん、主演俳優の金井浩人さん(立花明海役)、原作者の森沢明夫さん、の対談をお送りします。撮影秘話もたくさん飛び出しました!

 

<左から>映画監督の犬童一利さん、主演俳優の金井浩人さん、原作者の森沢明夫さん。

 

犬童:今回『きらきら眼鏡』を撮るにあたってのきっかけなんですが、僕の前作の映画『つむぐもの』。試写会に森沢先生が来てくださったことだったんです。

 

森沢:『つむぐもの』を観て、「余計な言葉を使わないで伝えたいことを伝える」という犬童さんのスタイルがすごく好きだと思ったんです。だから『きらきら眼鏡』の映画化の話が出たとき、犬童さんにお願いしたかった。

 

犬童:本当にうれしかったですね。映画監督が、原作者の方から声をかけていただけるってなかなかないんです。

 

森沢:制作にあたっては、船橋の制作実行委員会の方々と本当に密なやりとりをされていましたよね。きのうもFacebookに楽しそうな様子がアップされてた(笑)。

 

犬童:そうなんです。昨夜も、平日にもかかわらず40人くらいの方々に打ち合わせに集まっていただいて。やっぱり、船橋出身で船橋在住の森沢さんの作品だから、船橋の方々が本当によく協力してくださる。もはや「協力」という言葉では足りないくらい。「みんなでつくっている」という感覚ですね。文化祭みたいな。

 

森沢:大人が本気出してやる文化祭だよね。金井くんは船橋で撮影してみてどうだった?

 

金井:僕は新潟の長岡出身で、船橋とはもともと何のつながりもなかったんです。でも撮影が始まってからは、船橋のみなさんの、この映画に対する期待感を日々感じながら過ごしていました。エキストラの市民のみなさんも、日中暑いなか、たくさん来てくださって。

 

犬童:エキストラの市民オーディションは800人の方から応募をいただいて、その中から200人の方々を書類通過させて頂き、全員とお会いしました。エキストラの方々の撮影は北習志野駅がメインで、撮影時間は、終電から始発までの真夜中。にもかかわらず、撮影が許された5日間、みなさん毎日来てくださいましたね。

 

金井:手作りの食事も本当においしかったですよね!

 

犬童:実行委員会の方々が、撮影の間じゅうずっと、朝昼晩、おまけに夜食まで、すべての食事を作ってくださったんです。撮影期間、秋の寒い時期もあったので「温かいものが食べられる」ってありがたかったですね。

 

金井:力になりました。

 

犬童:撮影は9月下旬から10月下旬くらいまでだったんですが、秋が深まると寒くて。「三番瀬」の海のシーンなんて地獄だったね(笑)。

 

金井:震えが止まらなかったです。本当に(笑)。

 

犬童:あかね役の池脇千鶴さんと金井くんが海に入るシーンがあるんですが、海水がシャレにならないくらい冷たくて、2人ともブルブル震えてた。でも助監督が「本番が始まったら2人とも震えがぴたりと止まる」って言っていましたよ。

 

森沢:そうなんだ、すごいね。あの海のシーンは波もかなり高かったよね。

 

犬童:この撮影は撮り直しがきかないからワンカットでいくしかない。でもモニター越しにもだんだん波が高くなってきたのがわかって。カメラに波がかかっちゃっている状態だった。だけどカメラマンさんも「これは今撮らなきゃいけない」という気持ちがあったようで、そのまま続行しました。あとから撮影助手さんに「あ、機材終わった……と思ったのは初めてですよ」と言われちゃいましたけど(笑)。

 

金井:海の中で池脇さんと真正面から向き合って、寒さでおかしくなっていたのか、自分自身がなんか映画を観ているような感じでしたよ。

 

犬童:アハハ!

 

金井:不思議な体験でしたね。

 

犬童:監督としてうれしかったのは、あれだけ波が高くなってしまって、ふたりとも体を持ってかれてもおかしくないのに、画面からは絶対にはずれていなかったこと。しかも、金井がセリフを言わなきゃいけない瞬間は波がなくなって……。映画って生ものだからね。

 

対談はまだまだ続きます! 後篇では、金井さんや池脇さんが犬童監督とともに上海国際映画祭に参加したときの様子もお届け。お楽しみに!

 

犬童一利

1986年生まれ。神奈川県出身。人間の心の機微を描くことに定評のある、注目株の若手監督。近年の作品に『つむぐもの』(2006年)、『早乙女4姉妹』(2015年)、『カミングアウト』(2014年)など。

 

金井浩人

1992年生まれ。新潟県出身。2012年に『この空の花 長岡花火物語』(大林宣彦監督作)で映画デビュー。その後もショートフィルムなどに出演し、演技力に注目が集まる。本作が初主演作。

 

森沢明夫

船橋市出身・在住の作家。『きらきら眼鏡』のほかこれまで手がけた多くの作品が映像化されえている。近年映画化された作品に『夏美のホタル』(2016年)『ライアの祈り』(2015年)など。

 

 

◎撮影/鈴木正美、重枝龍明(ともにstudio orange)

◎ヘアメイク/山田典良

◎取材・文/植木淳子