やっぱり千葉が好き! 第10回 美味しすぎる工場見学ツアー 〜サッポロビール千葉工場
自分のエッセイ作品に「あおぞらビール」「ゆうぞらビール」などとタイトルを付けてしまうほど無類のビール好きで、しかも、0歳からずっと船橋市在住−−。
そんなぼくが、1988年から船橋港の目の前で稼働している「サッポロビール千葉工場」の見学ツアーに参加したことがないだなんて……、我ながら驚きである。
じつを言えば、これまでに何度も、何度も、何度も……、もう本当に何度も、このツアーには参加しようと思っていたのだけれど、しかし、どういうわけか、毎回、何かしら都合が悪くなって(ほとんどは締め切りに追われているせいだけど)、あきらめ続けてきたのだった。
しかし、今回、ついに念願叶って、この「やぱ千葉」の取材で工場見学に参加できることに!
小さな夢がひとつ叶いました。
感謝、感謝です。

さて、この工場、思いがけず規模が大きいことに驚かされた。聞くところによれば、東京ドーム4個分もの面積があるそうだ。
しかも、工場の目の前の港に停泊しているのは、あの三代目・南極観測船「しらせ」である。この船もまた全長134メートルと巨大なので、なんだか工場に入る前からテンションがあがってしまうのである。

さっそく天井がドーム型をしたサッポロビール工場の玄関に入ると、受付、売店、待合所などがあり、さらには歴代黒ラベルの缶や、古い時代の広告などが展示されていた。
なんだか、ちょっとしたアミューズメント施設みたいだな−−。
と思っていたのだが、実際、工場見学ツアーがはじまってみたら、まさにその通りだったのだ。


見学ツアーには専門のガイドさんが付いて、つねに参加者の団体を楽しませながら、サッポロビールにまつわる雑学をあれこれ解説してくれる。たとえば、「黒ラベル」にデザインされた星は北極星をあらわしているとか、原料となるホップはアサ科で、ビールには雌花しか使われないこと。また、再利用されるビールの瓶はだいたい8〜10年も使えることや、この工場では1秒に25本もの高速で缶ビールが充填されていること、等々。
雑学好きなぼくは、終始「へえ」「へえ」の連続だった。
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見学ツアーの行程には、博物館さながらに展示物が並べられていて、実際に稼働している工場(窓越し)と展示物の両方を見ながら学ぶことができるから、とても分かりやすく、そして面白い。
とりわけぼくの印象に残ったのは−−、
まず、60万リットルの巨大なタンクと同じサイズの部屋(直径8・8メートル、高さ16メートル)に入って、その規模を体感できたこと。
ふたつ目は「サウンドギャラリー」。これは、ビールがつくられるまでの行程で発せられる無数の「音」を使って軽快なリズムを奏でつつ、ビールづくりの映像流すミニシアターである。
広大な麦芽やホップの畑に吹く風の音から工場の機械音まで、様々な音色がリズムを刻んでいて、気づけばぼくもリズムに釣られてつま先で床を鳴らしていた。

とまあ、そんなこんなで1時間ほどの「見学」は終了するのだが、お楽しみはまだ続く。
ツアー一行は「マリンサロン」という食堂のような場所に案内され、出来たてビールの試飲をさせてもらえるのである。
乾杯の掛け声は、なんと「黒ラベル〜♪」。
待ってました、とばかり喉を鳴らしたぼくは、グラスを傾けたまま目を見開いてしまった。

なぜなら、泡も、ビールの液体も、これまで経験したことがないレベルの滑らかさだったのである。「絹のような」という表現は、まさにこのビールのためにあるに違いない。
この絶品ビールの試飲は、3杯までオーケー。
しかも、サッポロビール限定のおつまみも付いている。
まさに、至れり尽くせり。
ぼくらツアー一行が「美味い、美味い」と目を細めながら喉を鳴らしている間に、ガイドさんは、自宅で缶ビールを美味しく飲むための「3度注ぎ」を実演してくれた。
その方法とは−−、
1/まずは勢いよくグラスの底にビールをぶつけるように注ぎ、泡とビールが「1:1」になるまで待つ。
2/次は、ゆっくりと優しく、泡がグラスの縁にくるまで注ぐ。そして、泡とビールが「4:6」になるまで待つ。
3/再びゆっくり注ぐ。泡がグラスの縁を超えて、こんもり盛り上がれば、完成だ。


ガイドさんが実演した「3度注ぎ」ビールを飲んだお客さんは、「めちゃくちゃ美味い!」と驚いていたので、みなさんもぜひお試しあれ。
あ、そうそう。このツアーに参加した人には、黒ラベルがデザインされたビアグラスのお土産まで付いてきた。
つまり、工場見学をガイドさん付きで楽しめて、至高のビールを3杯も味わえて、おつまみも食べられて、さらにグラスまでプレゼントしてもらえて、参加費はナント500円!
衝撃のワンコインですよ。
サッポロビール千葉工場さん、どんだけ太っ腹なのでしょう?

というわけで!
この原稿を無事に書き終えたいま、ぼくはガイドさんに教わった「3度注ぎ」を試してみようと思うのである。
それでは、美味しいビールと、太っ腹なビール工場に−−、
乾杯!

【サッポロビール 千葉工場】
〒273-0014
千葉県船橋市高瀬町2番
TEL:047-437-3591
URL:http://www.sapporobeer.jp/brewery/chiba/
作者:森沢明夫
写真:鈴木正美
写真アシスタント:重枝龍明
編集:西小路梨可(主婦の友社)

