ほっと、人、あんしん。京葉ガス

ともに With you 千葉

ほっと、人、あんしん。京葉ガス

presented by SHUFUNOTOMO

食育について学べる!  話題の「保育園カフェ」が素敵すぎた!(後編)

津田沼駅から徒歩5分の場所にある、食育にこだわった「たちばな保育園」。この園がプロデュースする「たちばなごはんカフェ」が話題です。カフェの人気メニューやこだわりをご紹介した前回に引き続き、後編では、カフェの監修を担当する植草学園大学発達教育学部准教授の小川晶(おがわ・あき)先生に、このカフェに込めた思いや、子育ての悩みを抱えるママへのメッセージをお聞きしました。

たちばなごはんカフェの監修を手がける小川晶先生。植草学園大学発達教育学部の准教授として、保育者、親、子どもの関係性の研究を行っている。

 

 

 

 

親子で登園前に利用できるのがたちばなごはんカフェ

 

小川先生は、植草学園大学の准教授として、保育や子育て支援の研究を続けています。先生がこのカフェをプロデュースするきっかけのひとつが、園でのお母さんとのやりとりでした。

「保育園では毎日、子どもが朝食を食べたかどうか親が連絡帳に記入します。忙しいなかで、ときには朝食を食べる時間もなかったり、子どもが食べてくれない日があったりするのは当たり前。そんなときでも“いい親”を演じるあまり、親が気軽に『今朝は食べていません』と伝えられない風潮のあることが気になっていました。食べられない日や用意できない日があっても、親が後ろめたく思う必要はまったくありません。家で食べられなかったら、外で食べたっていい。そんな思いを伝えたくて、親子が気軽に利用できるカフェをつくりました」

 

 

 

 

「食を通じて、みんなが多様性を経験できる場にしたい」

 

たちばなごはんカフェのオープンは朝8時。登園時に親が子どもと軽い食事ができるのはもちろん、近所の早起きさんがふらりと訪れたり、会社員が通勤前に立ち寄ったりするにもうれしい時間帯です。

「親子のためだけのカフェにするつもりはありませんでした。少子化が進むなか、今や40代男性の2人に1人は独身といわれており、日常生活でまったく子どもと関わることのない人たちも大勢いらっしゃいます」

日常では交わらない、違う世界で生きている人たちが「多様性を感じられる場所にしたい」というのが小川先生の思いです。

「たとえば『コーヒーがおいしいから』『ランチが安いから』という理由で店に通っている独身男性が、ふと店内の親子連れを見て『子どもってあんなふうに食べるんだ』『親って大変だなー』と感じるだけでも素敵なこと。この社会にはいろんな人たちがいて、多様性でできています。そんなことを、食を通じて自然に感じることができるお店にしていきたいと思っています」

 

 

 

 

教えて小川先生! こんなときどうしたらいいの?

 

 

 

Q:子どもが朝ごはんを食べてくれません。

 

A:子どもが園や学校でいきいきと過ごすために、朝の糖分・カロリー摂取は大切です。でも、たまに食べてくれない日があるのは当たり前。そんなときは、バナナや子ども用のおせんべい、あるいは好きなものを食べさせるだけでもじゅうぶんです。手作りにこだわって、親が自分を責める必要はありません。ただし食べてくれない日が続くときには、遠慮なく園や学校の先生に相談しましょう。保育の専門家に託すことで、課題が分析できることもあります。また保育者のほうも、親からの相談を気軽に受け入れる態勢を整えることが大事ですね。

 

 

Q:離乳食が始まりました。ばぁばは手作りにこだわりますが、市販の離乳食はだめですか?

 

A:カフェでも赤ちゃんのために、市販の離乳食を販売しています。厳しい管理のもとで3大アレルゲン除去メニューの提供にこだわっているため、外部からアレルゲンの入った離乳食を持ち込まれることで起こるトラブルを防ぐためです。もちろん手作りは素晴らしいですが、家庭でそれにこだわるあまり、子どもと向き合う時間が削られてしまっては本末転倒。罪悪感がある方は「市販の離乳食を使うことでできた時間で、子どもに本を読むことができた」と考え方を変えてみませんか。

 

 

Q:子どもにアレルギーがあることがわかりました

 

A:今やアレルギーは特別なことではありません。いちばん大切なのは、子どもを「ほかの子は大丈夫なのに自分は……」という気持ちにさせないこと。保育側の問題でもありますが、いまだに「食物アレルギーのある子どもはカーテンを引いた別室で食べさせる」といった対応をしている施設もあります。最近ではアレルギー対応の食材も増えてきて、さまざまなメニューに対応できます。たちばな保育園でも、カレーのとろみは米粉を利用するなど、アレルギーがある子もそうでない子もみんな同じものを食べています。特別扱いせず、家族みんなが同じものをおいしく食べられれば、問題ありませんよ。

 

 

Q:共働きで、帰宅後は親もクタクタ……。夕食を準備する気力もありません。

 

A:アレルギーや栄養面に徹底的に配慮したお店はなかなかないと思いますが、夕食にレストランやスーパーのお惣菜を利用することは悪いことではありません。大切なのは、親子で同じものを食べて「おいしいね」「すっぱいね」「あったまるね」という感情を共有すること。仕事から帰宅して夕食の準備をして片づけて……ということに時間をとられるのであれば、たまに夕食は外のサービスにまかせて、家で20分子どもと向き合う時間をつくるほうがよほど前向きです。栄養面が気になるようであれば、「今日は揚げ物はやめておこう」とか、「お肉ではなく煮魚を買って帰ろう」など、その程度の配慮でもじゅうぶんです。

 

 

 

 

2回にわたり「たちばなごはんカフェ」をご紹介してきました。子育て世代も、そうでない人たちも、アレルギーの子もそうでない子も、みんながハッピーになれる社会をめざして、今日も小さなカフェは奮闘しています! 私たちも、「がんばりすぎない前向きな子育て」を意識しながら、楽しく子どもたちと向き合っていきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

取材協力/たちばなごはんカフェ

船橋市前原西2丁目24-7

☎047-477-7005

営業時間:8~16時

定休日:水・土曜日

カフェと保育園が共同で、年に数回「子育ち講座 つくる×たべる×まなぶ」を開催しています。次回の12月1日(日)は、小川晶先生による「快適な睡眠とは?」というテーマの講座が開かれたあと、参加者みんなでアレルギーフリーのクッキーを作ります。お問い合わせはたちばな保育園☎047-470-3745まで。

 

 

 

※2019年9月時点の内容です。

 

 

 

取材・文/植木淳子

撮影/貴田茂和