津田沼駅からほど近くにある、「たちばなごはんカフェ」を知っていますか? たちばな保育園と隣り合うこのカフェは、4年前のオープン以来、地域の人たちがほっとくつろげる場になっています。食育に力を入れ、おいしさへのこだわりで知られる保育園の給食がカフェで味わえることもあり、子連れ客を対象としたカフェかと思いきや……。取材をしてみるとこの小さなお店には、子育て世代だけではなく、今の時代を生きるすべての大人たちに向けた大きな思いが込められていることがわかりました。
カフェの監修を務めた、植草学園大学発達教育学部准教授の小川晶(おがわ・あき)先生からの、がんばるママさんたちへのメッセージとともに、前後編と2回にわたってお届けします。
3大アレルゲン完全除去のこだわり園メニューは大人も大満足!

写真はAランチの鮭のコーンフライと、Bランチのポークストロガノフを両方味わえるハーフアンドハーフ。スープとサラダつきで、大人も大満足の600円です。もっとおなかいっぱい食べたい!という男性の声にこたえ、+100円で大盛りも対応。量が少なめの子ども用ランチは、驚きの100円!
カフェのいちおしメニューは日替わりランチ。AランチとBランチの2種類があり、どちらもたちばな保育園で日常的に提供される給食の人気メニューからチョイスされています。もちろん鶏卵、小麦、牛乳・乳製品の3大アレルゲンは一切使用しておらず、管理栄養士監修のもと、調理されています。園でもカフェでも、すべてのメニューをアレルギー除去食にしているのは、小川先生の「マイノリティをマジョリティにしたい」というポリシーから。
小川先生は植草学園大学発達教育学部准教授として研究を続ける保育のスペシャリスト。アレルギーのある子どもが「みんなと同じものを食べられない」ことで悲しい思いをするくらいなら、みんなでおいしいアレルギー除去食を食べて、マジョリティにしちゃおう! という素敵な考え方を広めるべく日々奮闘しています。もちろん、いちばんのこだわりはおいしさ。この日、2人の子どもを連れてお友だち親子と訪れていたママさんも「味つけがちょうどよくてお気に入り」とのこと。オープン時から通っているそうです。
カフェとして勝負したいから……コーヒーは本格的に

ランチに+150円で、ドリンク・デザートも味わえる。写真は濃厚な風味の「豆腐のブラウニー」。デザートももちろん3大アレルゲンは不使用。

ティータイムの利用客のためにデザートの種類も豊富。
たちばなごはんカフェのコーヒーは、地元では知らない人がいないほど人気のコーヒー専門店「珈琲豆のおおつか」の豆を使用したオリジナルブレンド。ドリンクもフードもただでさえリーズナブルなのに、ここまでこだわる理由は「子育て支援のお店としてではなく、カフェとしてきちんとおいしさを追求したい」という小川先生の熱い思いがあるから。取材当日も子連れのお母さんたちだけではなく、ふらっとひとりで訪れてランチやお茶を楽しむお客さまも多く見受けられました。
子どものためのさりげない工夫にもこだわりが

子どもたちが楽しんでいたのが、店内にいつも置いてある曼荼羅(まんだら)ぬりえ。子どもの自由な想像力や発想力を養うために、あえてキャラクターものや動物などの具体的なものではなく、どんな色にも塗ることができる抽象的なぬりえを置いているのだそう。食事の前後など、子どもはどうしても退屈しがち。しかし自宅と違い「お店ではほかのお客さまの迷惑にならないようにするということも学んでほしい」と小川先生は言います。「子育てにやさしいお店は、子どもが大声で騒いでもいいお店とイコールではない」というのが、このカフェの考え方です。

絵本コーナーには、大人も思わず手に取りたくなる、ロングセラーがたくさん。
いかがでしたか。後編では、このカフェに込められた保育園の熱い思いや、悩めるママさんへのメッセージをお送りします。「子どもが朝ごはんを食べてくれない」「夕食を準備する気力もない……」など、よくあるお悩みについて、小川先生がお答えします。
取材協力/たちばなごはんカフェ
船橋市前原西2丁目24-7
☎047-477-7005
営業時間:8~16時
定休日:水・土曜日
カフェと保育園が共同で、年に数回「子育ち講座 つくる×たべる×まなぶ」を開催しています。次回は2019年12月1日(日)。小川晶先生による「快適な睡眠とは?」というテーマの講座が開かれたあと、参加者みんなでアレルギーフリーのクッキーを作って食べます。お問い合わせは、たちばな保育園☎047-470-3745まで。
※2019年9月時点の内容です。
取材・文/植木順子
撮影/貴田茂和

